株式会社フォトラクション
リリースから数年で導入プロジェクト15万件を突破したPhotoructionが機能強化を図り、さらなる飛躍へ
株式会社フォトラクション
代表取締役CEO 中島 貴春 氏
2017年の提供開始から丸4年が経過し、大手ゼネコンやサブコンを中心とした企業への導入が進んでいるオールインワンの建設生産支援クラウド「Photoruction」。導入プロジェクト数は順調に増加し、今年9月に15万件を突破。これまで多くのユーザーの声を機能に反映し、ソリューションのアップデートも随時行うなど、建設業界の期待に応えてきた。
最近では、Photoructionの写真管理機能の大幅アップデートを実施したほか、ソリューション内にBPO機能の実装を行うなど、創業時から掲げる「建設の世界を限りなくスマートにする」というミッションのもと進化し続けている。
今回、フォトラクション 代表取締役CEOの中島貴春氏に、最近のPhotoructionの主なトピックスをはじめ、近年の開発のベースとなるBPaaSや将来に見据えている展開についてお話を伺った。
Photoructionの原点である写真管理機能の大幅リニューアル
オールインワンの建設生産支援クラウド「Photoruction」は、写真や図面などの情報を一元化し、建設現場の管理業務を大幅に効率化できるソリューション。2017年のリリースから4年以上が経過し、シェアを拡大し続けている。2022年9月にはPhotoructionの導入プロジェクトが15万件を突破したことなどを発表した。
代表取締役CEOの中島貴春氏は、「Photoructionはリリースから丸4年が経過し、おかげさまで大手ゼネコンを中心とした幅広いお客様に利用いただいています。最近では、既存機能をブラッシュアップした大幅アップデートの実施や、BPO機能実装のバージョンアップを行いました」と語り、最近の大きなPhotoructionのトピックスを2点紹介してくれた。
まずPhotoructionの写真管理機能の大幅なアップデートが施され、さらなる利便性の向上と対応工事が拡大したことが挙げられる。
写真管理機能でアップデートした機能は主に3つ。まず“フォルダ管理機能”だ。「写真管理はPhotoructionのコアな部分で、フォルダを使わない自動整理は当初からの特長です。写真データに付随する日付や工種などの属性情報を用いた自動整理を推進し、お客様から評価を得てきました。その中で、フォルダでも整理したいというニーズを土木分野を中心にいただき、従来の利便性などはそのままに自動整理とフォルダ管理が両立する仕組みを開発したのです」と中島氏。これにより、自動整理に加えて、フォルダで管理できる機能を切り替えながらユーザーの好みや都合で管理することが可能となった。
二つ目は“電子小黒板の機能強化”で、電子黒板のフォーマットを自由に変更できるようになったことである。「電子黒板は他社でも同様ですがフォーマットがかなり限定される場合が多く、罫線や色、掲載する情報を変更はかなり手間の掛かることでした。そこで、表計算ソフトのような操作感で“Excelライク”にユーザー自身でフォーマットを変更できる機能を追加しました」と中島氏。さまざまな工事現場に沿った書式にスピーディに対応できるようになり、ユーザーには嬉しい機能強化と言えるだろう。
そして三つ目は“電子納品のファイル作成機能”の追加だ。「国土交通省をはじめとした電子納品で電子納品ファイルを作る際に、PCのローカルに保存してある写真をかき集めることなく、クラウド上にすでにアップされているファイルを納品ファイルとして扱えるようになりました。派手さは感じないかもしれませんが、データ活用の面でかなり有効な機能です」と中島氏。このようにPhotoructionの機能を用いることでユーザーは作業効率の向上だけでなく、DXの推進を図れるようになっているのである。
建設BPOをPhotoruction内で提供しより気軽なサービスの利用へ
フォトラクションでは、以前より自社開発のAIを活用し建設BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供している。一般的にBPOは業務プロセスの一部を外部に委託し自社の持つリソースをコア業務に集中することであるが、今回同社は、新たにPhotoructionにクラウド型の「BPO機能」を搭載した。これにより、工事の事前準備やデータ入力など建設業向けに用意されたサービスを、Photoructionの画面の中で選択するだけで実行できる。
中島氏は「今回、ソフト内にBPOの仕組みを完全に組み込みました。ユーザーはメニューボタンを押し、基本的には目的のデータが納品されるのを待つだけです」と説明する。メニューを見ながら数個の項目に従ってオーダーすることで、フォトラクション側で独自のAIを活用して作業を行い、Photoruction経由でクラウド納品するという流れである。このため、社内外に向けての教育コストは発生せず、ソフトの機能の一部として選ぶだけで、24時間365日いつでもBPOを発注できることが魅力的だ。「ソフト活用だけではどうしても限界があった部分を、ユーザーはこの建設BPO機能を使うことでノンコア業務から解放され、本来の業務に集中できるようになるのがメリットです」と中島氏は有効性を語る。
そして、これらのアップデートや新機能の追加を含め、フォトラクションが提供するサービスは「BPaaS (Business Process as a Service) 」と呼ばれる考え方に沿って開発が進められている。
これはソフトをクラウドで提供するだけでなく、クラウド経由でビジネスプロセスまで提供するサービス形態のこと。「単にソリューションの提供だけでなく、私たちは独自のテクノロジーや機能を通して成果物の作成やビジネスプロセス自体を担うことで、さらなる価値を創出することを目的としています。これがBPaaSの考え方で、将来建設業の生産性をさらに向上させることになります。
この考えのもと、機能のアップデートを続けるとともに、BPO機能のメニューも拡充していき、建設業務の本質的な部分でより貢献できるサービスを提供していきます」と中島氏は意気込む。
データプラットフォームとしての強化とBPaaSに基づく今後の展開
さまざまな情報を蓄積できるため、データプラットフォームとしての側面を持つPhotoructionは、APIの強化にも取り組んでいる。例えば、専用のソフトウェアの導入なしでBIMモデルを現場に持っていくことができる「Photoruction BIM」やDropboxやBoxの活用が可能となる「ストレージ連携」などが該当する。
また、リリース当初から一貫して取り組むのは、セキュリティの強化だという。「入れたデータがいつでも安心で、適切なかたちできちんと取り出せることを重要視しています。クラウドサービスで、会社ごとにセキュリティポリシーに特化した機能を付けるなどのサービスにも取り組んでいます」と中島氏。これによって、ユーザーは安心して使用できるのである。
そして、セキュリティの各社対応も含めて、中島氏が取り組んでいるのはカスタマイズの部分である。「Photoructionはソフトウェアとして、コアな部分をあまり変更できないように設計しています。ただ、周りのサービス機能と連結させて動かしているので、その会社独自の要望に幅広く対応できるのが強みです」。アウトプットの形式にバリエーションをもたせることで、カスタマイズが前提となるような規模の現場や企業の導入にも柔軟に対応できるという。
中島氏は「これから大きくはBPaaSに沿ってPhotoructionの開発を続けて、幅広いサービスを提供していきます。ユーザーの皆様と一緒につくっていくフェーズなので、気軽に問い合わせや要望をいただきながら機能に反映していきたい」と展望を語る。さらなる機能強化を続けるPhotoructionは、今後も多くの現場と企業で重宝されていくだろう。
CORPORATE PROFILE
会社名 | 株式会社フォトラクション |
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設立 | 2016年 |
事業内容 | 建設生産支援サービスの開発・提供 |
本社 | 東京都中央区 |
代表者 | 代表取締役CEO 中島 貴春 |