Assembly OSM社 ダッソー・システムズ
高層住宅建設で最大50%工期短縮するAssembly OSM社のモジュラー2.0
Assembly OSM社
CEO Andrew Staniforth氏
デジタル・デリバリー担当ディレクター Neil Meredith氏
米国における深刻な住宅不足、価格の高騰に対応するために、Assembly OSM社は高層住宅向けに高度に自動化されたモジュールの製造および組み立て工程開発にバーチャル・ツインを活用しています。その結果、大幅な工期の短縮やサステナビリティへの対応力を向上しています。
米国の潜在的な住宅購入需要に対して、400万戸近くの不足が生じています。資材コストの高騰により、問題がさらに深刻化しており、2021年6月から1年で住宅購入価格が18%上昇しています。Forbesは、これを「住宅市場の崩壊」と称しています。
Assembly OSM社は、建築面で特徴のある高層住宅ビルのデジタル設計、モジュール製造、組み立て、現場設置を含む、技術的に高度なプロセスを提供しています。このモジュール2.0アプローチにより、従来のプロジェクトと比較して、工期を大幅に短縮し、コスト効果およびスケジュールの確実性を飛躍的に向上させています。
同社は、ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE クラウドプラットフォームおよびFrom Experience to Constructionソリューションにより、関係者が建設ノウハウを仮想化して、単能工から多能工化のためのエンジニアリング及び組み立てへの移行を実現しています。
同社のチームは、無限の組み合わせにより、単一のプラットフォームに適合できる、コンポーネントとサブアセンブリーを設計しています。すべての要素を高性能かつ高度に自動化されたモジュール製造および組み立て工程用に特別に設計して、極めて優れた公差およびハイレベルな品質を達成しています。
Assembly OSM社は、自動車や航空宇宙産業のリーダー企業のオペレーション方法からヒントを得ています。ボーイング社、スペースX社、テスラ社のアドバイザーと緊密に連携してモジュラー戦略の詳細な調整を行っています。Assembly OSM社が3Dを使用して建物を設計後、同社のサプライチェーンがコンポーネントをモジュール製造しています。また、Assembly OSM社が製品を組み立て、ゼネコン・パートナーが現場で「設置」しています。
「当社の重要な差別化要因のひとつは、各プロセスを自社および他社に分担していることです。このアプローチは、従来のモジュール化の試みに固有の多くの問題を解決します。 全てを同じ拠点で行うと、障害がひとたび発生すると、すべてが止まります。当社は、これを回避しています」(Assembly OSM CEO Staniforth氏)。
同社は、このオペレーション方法により、プロジェクトの期間を最大50%短縮して、一般的には予測できない建設の問題点も軽減しています。「ボーイング社が航空機のモデル化に採用している[より信頼性の高い調達ができる]より高レベルの忠実度のあるモデル化が必要です。これが、航空宇宙産業において使用されているダッソー・システムズの3DEXPERIENCE®アプリケーションを採用した理由です」。
「Assembly OSMのチームにとって、デジタル連続性は重要です。設計からモジュール製造までのプロセス全体をすべてプラットフォームで一元化することで、従来の納品プロセスでは不可能だった様々なことを実現しています」(Staniforth氏)。
プラットフォームにプロセスを取り込むことで、より優越な連携環境がもたらされています。「ENOVIAで、プラットフォームでの意思決定を推進しています。以前の取り組みでは、スクリーンショットで静止画を撮ってスプレッド・シートで管理していました。設計レビューをネイティブの設計ツールに移行したことにより、例えば、要求された変更が実行されていることをすぐに確認できます。つまり、複数の異なるソリューションによる分断化された作業ではなく、全員が実際の元データを使って連携作業を行っています」(Staniforth氏)。
この一元型アプローチは、分散型の環境における作業の場合、特に有効です。「当社は、製品情報を一元管理して、プロセスのすべての関係者がプッシュ・プルを行っています」(Staniforth氏)。
制作レベルのモデルのテンプレート化は、時間を節約してコストを削減し、さらなるメリットをもたらします。「当社は、建物を一連のモジュール製品またはサブアセンブリーに分割しています。例えば、構造フレームやファサードです。それぞれが特定の構成ですが、ある程度の範囲で柔軟性を許容する必要があります。例えば4本の柱と6本の柱フレームのエンジニアリング・テンプレートを使うことで、ゼロから開始する必要がなくなり、テンプレートのバリエーションを素早く作成できます」(Assembly OSM社、デジタル・デリバリー担当ディレクター Neil Meredith氏)。
これは、Assembly OSM社の取り組みが、プロダクト化に留まっていないことを意味します。「プロセスをプロダクト化するだけでなく、CATIAにより、より多くのカスタマイズを達成しています。一般的なプロダクト化には個別のオプションがありますが、当社が行っているのは、より連続的なオプションのスペクトルを構築することです。これをパラメーターに基づいて行うことができます」(Staniforth氏)。
ほぼ無限のオプションを容易に提供するには、大規模なデータ・セットを管理できるプラットフォームが必要です。「CATIAをプラットフォームで使用することで、大規模なデータ・セットを実に容易に管理できます」(Meredith氏)。
「二酸化炭素排出全体の40%が建築環境で発生しているため、より適切な建築が私たちの責任であることを確信しています。3DEXPERIENCEプラットフォームにより、当社が担当するすべての建物に高精度の部品表を作成して、さまざまな資材をすべて分解することができます。これらの資材を把握して、環境への影響を極めて早い段階で数値化できます」(Staniforth氏)。
すべての部品およびコンポーネントに関する詳細な情報により、Staniforth氏、Meredith氏とチームは、モジュール製品に含まれる二酸化炭素の量を分析して、サプライヤー・ネットワークによる持続可能性への影響に結び付けています。これにより、同社は、建物から大半のコンクリートを排除しています。「非常に炭素集約型であるコンクリートを減らすことで、二酸化炭素を大幅に削減できます」(Staniforth氏)。
より適切な管理および視点をオペレーションに導入することが、極めて無駄のないモジュール製造プロセスの維持にも役立てられています。「建設プロセスとは対照的に、当社はモジュール製造の観点から建物に取り組むことで、廃棄物を大幅に削減しています」(Staniforth氏)。
さらに、Assembly OSM社は、排出ガス削減にも大きな進展をもたらしています。「従来の建設に比べ、現場へのトラック輸送による搬入数を大幅に減らしています。これは、モジュール製造と階層化された生産システムの厳格な管理による成果です」(Meredith氏)。
モジュール建築の最大のメリットのひとつは、分解および再利用が容易なことです。「当社の建築は、建物解体用の鉄球で壊す必要がありません。ボリュメトリック・パネル化システムを解体して再利用できます。廃棄物はほとんど発生しません」(Staniforth氏)。
「3DEXPERIENCE プラットフォームは、当社の非常に特殊な問題点を解決しています。これは、サプライヤーとの連携やモジュール製品の管理方法など、当社のオペレーションの根幹に結び付いています。今後、3DEXPERIENCEも拡張していきます。どのような展開になるのか、とても楽しみです」(Staniforth氏)。
CORPORATE PROFILE
会社名 | Assembly OSM社 |
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設立 | 2019年 |
事業内容 | 高層住宅のデジタル設計・製造・施工サポート・サービス |
本社 | New York, NY, USA |
代表者 | CEO Andrew Staniforth |