コダマコーポレーション株式会社
データの一気通貫などの製造業で培ったCAD/CAMのノウハウで建設業界の生産性向上に貢献
コダマコーポレーション株式会社
代表取締役社長 小玉 博幸 氏
約30年にわたり、主に製造業でのCAD/CAMシステムの販売・コンサルティングを行ってきたコダマコーポレーション。同社が提供する3次元CAD/CAMシステム「TopSolid」シリーズは、1996年の発売以降、約4,500社に導入をしてきた実績を持つ。
「TopSolid」は「データの一気通貫」を実現し、手戻りやミスをなくし大幅な効率化を図ることができる点が最大の特徴だ。
同社は、2020年にTopSolidがBIMに対応したことから建設、設備、プラント業界向けの販売を本格化。同社がこれまで製造業に対して、どのような提案を行い、建設業でどのように展開しようとしているのか。同社代表取締役社長の小玉博幸氏に伺った。
「データの一気通貫」を実現するTopSolidシリーズ
コダマコーポレーションは、1989年の設立以来、日本の製造業の生産性を飛躍的に向上させるためにCAD/CAM/CAEシステムやサービスを提供している。営業拠点は横浜本社のほか、名古屋と大阪の3拠点で全国をカバー。横浜本社にはCAD/CAMのサポートセンターがあり、70名近くいる専属エンジニアも全員が本社に在籍する。カスタマーへのサポートはリモートで実施し、エンジニアは本社からユーザーのPCを遠隔で操作し、会話しながら問題を解決している。
また、同社では東京都羽村市に「試作部・加工技術研究所」という試作品の金属加工を行う工場を持ち、約35名の従業員を擁する。これは、多くの企業から「最新の5軸マシニングセンタや複合加工機を活用できていない」という相談を受け、その解決のために2009年に開設したもの。機器を最大限に活用する加工技術の研究を続けている。
同社は1996年に、フランスのTOPSOLID社が開発した3次元統合CAD/CAMシステム「TopSolidシリーズ」の販売を開始。日本での独占販売権を持ち、導入コンサルティング、システム構築、サポート、教育、運用コンサルティングまでを行ってきた。発売から25年以上が経ち、日本国内の導入企業は4,500社を超え、ライセンス数は10,000を超えている。
TopSolidシリーズは、3次元CADシステム「TopSolid’Design」をはじめ、プラスチック金型用3次元CAD「TopSolid’Mold」、プレス金型用3次元CAD「TopSolid’Progress」、3次元ソリッドCAD/CAMシステム「TopSolid’Cam」を揃える。これらすべてのアプリケーションが完全に連動し、設計から製造までの全工程でエンジニアリング・データを共有し、活用できる「データの一気通貫」が最大の特徴である。データ変換を必要としないため、複数の異なるシステム間でデータを利用する際に発生するデータ変換のトラブルがなくなる。また、設計者がつくった3次元データを使って、ものづくりを進めることが可能なため、データの修正や再作成といった無駄やロスを排除できる。
製造業で培ったCAD/CAMのノウハウを建設業に
「バラバラのシステム運用が常用化し、非効率なシステム運用が当たり前と考えられている建設業の状況は、20年前の製造業を見ているようです」とコダマコーポレーション 代表取締役社長の小玉博幸氏は語る。創業前に武藤工業(現MUTOHホールディングス)でCAD事業の責任者を務めていた頃からCAD/CAMビジネスに40年以上携わる小玉氏は、「CAD/CAMは経営のツール」と言い切る。そして「会社全体の効率化や生産性向上を実現したいのであれば、経営者自らがCAD/CAMシステムを真剣に選定し、指揮を取って活用する必要があります」と説く。
2020年にTopSolidがBIMに対応したことから、コダマコーポレーションでは建設、設備、プラント業界向けに製品の販売を本格化している。さまざまな工業製品をデザインするTopSolidの高度なモデリング技術や3次元データの一気通貫の活用法を建設業に適用することで、設計、施工、生産設計、加工などあらゆる工程を1つのソフトでカバーし、業務の効率化を実現できると考えている。
企画設計、基本設計、実施設計の各工程における意匠、構造、設備のモデリングは、BIM対応3次元CADシステムTopSolid’Designで行う。作成したデータは建材の生産工程に引き継ぎ、3次元CAD/CAMシステムTopSolid’Camで活用する。小玉社長は製造業に携わる数多くの企業での変革を手掛けたからこそ、「一気通貫のデータ活用が実現すれば仕事が変わる。CAD/CAMシステムこそ、経営管理システムや生産管理システムと同じように“経営のツール”なのです」と語る。
TopSolid’Designは、数万点の部品・部材を管理できる製品データ管理(PDM)標準搭載の3次元CADシステムだ。小玉社長は「設計仕様の変更なども描画で仕上がりをすぐに確認できますし、フォトリアリスティックなレイトレーシングやレンダリングにも対応し、ウォークスルーでデザインを確認できます。ソリッド、サーフェス、板金、鋼管・型綱、配管などの多彩なモデリングができるのは、製造業で培われた強みです」と説明する。
TopSolid’Designは、データの処理にも長けており、大規模構造物をフル3次元で設計し、大規模な点群データも高速処理して読み込むことができる。PDMを内蔵していることから、製品情報の検索やバージョンとリビジョン管理、文書、画像、動画などあらゆるデータを管理。属性情報から数量計算や見積書作成ができるほか、足場や仮囲い、重機なども配置し、施工計画も検討できる。
3次元CADシステム活用をさらに身近なものに
一気通貫のTopSolidの認知度は、建設業界で広がりつつあり、導入事例も増えている。
総合トップライトメーカーの特殊技研金属株式会社では、横浜駅西口のバスターミナルに設置するシェルターのトップライトの設計でTopSolidが使用された。当初は建設関連のCADでの作成を検討していたが、曲線形状の設計が得意なTopSolidが選定された。
事前にCAD上で干渉確認が手軽に実施できることで、現場での干渉確認やその後の設計変更を改善するのにこれまでかかっていた大幅なコストを抑制できたと評価されている。
導入時に比較した他CADと比べても、部品点数の多さによって処理速度が低下しないので、快適に操作できる点が良いと言われているそうだ。
木・アルミ複合断熱製品のパイオニアメーカーである株式会社ニューストでは、ある商業ビルのカーテンウォールの設計で取付け用の金具を含めて忠実に作成し、専門工事業者から高い評価を受けたという。特に事前の細かな干渉の確認ができるたことで、現場合わせの手間が省略でき、大幅なコスト削減を実現したという。
プラント計測などを行う合同会社佐藤プランニングでは、図面がないプラント設備の改修⼯事の際に、現況設備の計測から構造物の現況を点群データで取得して取り込み、TopSolidでBIM/CIMモデルを作成。施工図と製作図を作成し、鋼構造物の製作までを一貫で実現している。
TopSolidの操作や活用の面でコダマコーポレーションは、製造業のユーザーに提供してきたノウハウを生かしたサポート体制を建設業でも敷いて対応する。「たくさんのツールを組み合わせないとBIMはできないという先入観をなくし、建設業界の生産性向上に貢献していきたい」と小玉社長は力を込めて語った。
CORPORATE PROFILE
会社名 | コダマコーポレーション株式会社 |
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設立 | 1989年 |
事業内容 | CAD/CAMシステムの販売とサポートサービス、及びコンサルテーション |
本社 | 神奈川県横浜市都筑区 |
代表者 | 代表取締役社長 小玉 博幸 |