戸田建設株式会社 フォトラクション
各社のニーズに合わせた建設BPOサービスが実現するゼネコンのCXと生産性向上
戸田建設株式会社
本社 建築生産企画部 部長 池端 裕之 氏
本社 建築生産企画部 生産システム推進1課 主任 坂口 志歩 氏
140年以上の歴史と実績を持ち、幅広い建物や構造物の建設を手がける総合建設会社の戸田建設。東京・京橋に新本社ビル「TODA BUILDING」を建設するなど、2031年の同社150周年に向けて、現在さまざまな取り組みを実践している。
同社はDXの推進をさらに加速させ、BIMやICTを設計や施工などの幅広い業務で活用しているが、その中で業務プロセスの一部を外部委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)も活用し、さらなる業務の効率化を図っている。
その戸田建設が導入しているのが、フォトラクションのオールインワンの建設生産支援クラウド「Photoruction」と「建設BPO」サービスである。
今回、同社の最新の動きをはじめ、Photoruction導入の背景や狙い、実際の建設BPOサービスの運用効果などについて、建築生産企画部の部長 池端裕之氏と主任 坂口志歩氏にお話を伺った。
魅力あふれる作業所のためにBPOを活用
戸田建設は創業140年を超え、2031年に迎える150周年へ向けて「未来ビジョンCX150」を策定。CX(Corporate Transformation)を推進し、協創社会に向けて会社を変革していくことを掲げている。建築生産企画部の部長 池端裕之氏は、「CXを当社の建築生産において推進していくのが我々の部署の役割です。CXでは、WX(Workstyle Transformation)とDX(Digital Transformation)を両輪として推進することが欠かせないのですが、そのどちらも我々の部署で進めています」。
特に、業務の工程数が多く煩雑であるうえ労務不足が顕著になっている建設業界において、池端氏が指揮を執る同部署では、「魅力あふれる作業所をつくる」をミッションに掲げ、さまざまな技術を取り入れながらWXとDXを推進中だ。
その建築生産企画部は、生産システム推進1課と2課、そしてフロントローディング推進課の3つで構成される。生産システム推進1課は主に現場社員のWX、2課は主に建設技能者のWXをカバーする。WXでは例えば、すべての現場社員一人ずつの業務データを集めて分析、個々の働き方などの改善やフィードバックに活かす。また、現場では技能者の顔認証入場を100%実施し、労務管理データを電子化して集計も行っているという。一方でDXでは例えば、現場の映像を集めてAIで解析し、危険予知や安全・品質管理などに活用できないか試行している。また、すべての現場では着工時に、3Dレーザースキャナーやドローンで点群データを取得し、構築した施工BIM等とリンクさせながら仮設計画などに活かす。その差異には課題を事前に解決しながら、どのように進めていくかを検討してシナリオを用意するフロントローディングを推進している。CXの取り組みでは、あらゆるデータや情報をデータベースに一括集約される仕組みを整備している。
これらの取り組みを行う中で、社員の業務や仕事の内容を分析し、現場社員の作業でなくてもよい定型業務・事務業務なのかを判断。定型業務や事務仕事については外部に委託するBPO、自動化できる作業であればRPAを活用し、さらに効率化を進めるという判断をしている。
このBPO利用において、同社が包括契約しているのが、フォトラクションの建設業向けBPOサービス「建設BPO」である。これはフォトラクションが開発・提供する建築・土木の生産支援クラウド「Photoruction」のBPOサービスだ。
誰もがわかりやすく使いやすい「BPO窓口サイト」を構築
池端氏は、BPOサービスの導入の経緯を「以前は現場ごとに作業所長が、BPOを選び、個々で見積や契約していました。しかし所長によって判断が異なりますし、契約数のスケールメリットも得られません。そのため、戸田建設ではBPOの内容と方針を決めて、全社的に契約するのが最適だと判断しました」と振り返る。
また、同社では数年前から個々の現場で、Photoructionを導入しており、その機能を評価していた。「フォトラクションは建設業に特化した会社として発足し、社内に建設業界の経験者がいることに信頼感があります。また、図面のやり取りなどがPhotoructionのクラウドを使ってワンストップで行えて便利だった点も決め手でした」と池端氏。そして、Photoructionと建設BPOサービスの包括契約に至り、現在では本社から各現場のBPOの使用や活用状況を把握・管理できている。
実際に戸田建設がBPOサービスを活用する際は、社内の業務ポータルサイトから利用できるようにカスタマイズした形になっており、利用する際はポータルサイトの画面から「BPO窓口サイト」のボタンをクリック。すると次のページに遷移され、フォトラクション提供のBPOサービスをはじめ、戸田建設が活用する約20のBPOメニューが並び、そこから選択できる仕様としている。BPOの社内整備や推進を担当する坂口氏は、「この窓口サイトにアクセスして必要データをアップロードすると、それぞれのBPOサービス提供会社に自動的に依頼され、見積や納品もBPO窓口サイトを通じて行われます。この体系や仕組みは、私たちとフォトラクション側で話し合いをして構築しました。また開発がスタートしてからは、ゴールの共有ができていたため、スムーズに開発を進めてくれました」と振り返る。池端氏も「窓口サイトはわかりやすく作り、利用者が電話で問い合わせすることがないようUIも工夫しました。フォトラクションが用意する帳票検査ツールなどはデザインセンスを感じて見やすく、現場の社員も使いやすいです」と評価する。
現場に負担がかからない運用を徹底して目指す
前述のとおり、同社が利用しているBPOの内容は配筋検査や杭工事検査の帳票作成、施工計画書作成など幅広い。「Photoructionの“建設BPO”の導入で、業務が効率化されていることは間違いありません。現場社員が本当にやるべき業務ができるようになったのは大きいです」と池端氏はメリットを語る。坂口氏も「現場と協力会社のやり取りのフロー自体が“BPO窓口サイト”を介することで大きく変わりました。従来は現場がBPOを依頼する協力会社へ個々で連絡していましたが、Photoructionのクラウドを導入したことでその負担がかからない運用となっています」と語る。
さらに社内システムとPhotoructionはAPIで自動的に情報連携を行う仕組みも開発。「建築工事の現場は社員配置が日々変わるため、その社員配置の情報が、毎朝、自動で連携されます。このおかげでアカウント管理も円滑で、社員が日々安定して使用できます」と2人は口を揃える。
坂口氏は「社内の周知も進み、BPOを効果的に使用してもらえています。いままでは現場ごとに存在していた情報が収集され、Photoructionに一元化して蓄積されていきますし、今後はそれらのデータから現場のニーズを汲むなど、次に繋げていければと思います」。
そして、池端氏は「施工現場で今後BIMまわりの活用がより本格化するでしょう。施工現場での変更情報や検査に関する幅広いデータもBIMに蓄積し、その蓄積データをまたナレッジとして活用するなど、さまざまな展開が考えられます。将来を見据えて、フォトラクションと一緒にさらならなる生産性向上の手立てを考えていければと思います」と力強く語る。建設現場の声に沿いながら、データを活用して生産性を上げるソリューションを提供するフォトラクションには、大きな期待がかかっている。
CORPORATE PROFILE
会社名 | 戸田建設株式会社 |
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創業 | 1881年 |
事業内容 | 建築一式工事、土木一式工事等に関する調査、企画、設計、監理、施工その総合的エンジニアリングおよびコンサルティング業務など |
本社 | 東京都中央区 |
代表者 | 代表取締役社長 大谷 清介 |